高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
まだ会ったばかりなのに、どうしてそんなこといわれるんだろう。

藤崎社長をみると、何事もなかったかのようににこやかな笑顔だ。

「へえ〜。時宗らしいな。彼女、時宗に食われないように気をつけなよ」

義政さんはそういってクスクスと笑いながら、また仕事の相談に乗ってくれよな、と義政さんが付け加えると、ああこちらこそよろしく頼むよ、と仕事の話をして義政さんは店の厨房へと姿を消した。

「あ、あの。いずれは彼女って」

「お昼休み、少しオーバーしてしまいましたね。仕事に戻りましょうね」

藤崎社長が席を立ち、続いてわたしが席を立とうとしたら、足元がふらついた。

すぐに藤崎社長はわたしの前に立つとすかさず手をのばし、わたしの両腕をつかんで立たせてくれた。

「大丈夫ですか?」

「は、はい……」

また助けられてしまった。

藤崎社長とともにレジに向かい、会計を済ませてくれた。

「藤崎社長、ごちそうさまでした」

「いいランチ会でした。満足なお昼を過ごせてよかった」

外に出ると少し雨が降っていた。

水たまりがあるところにさしかかったとき、やっぱり藤崎社長の手がわたしの腕をつかんで乾いた路面へと連れていってくれる。

「あの、さっきの彼女って」

みかねて再度たずねてみる。藤崎社長は黙って笑っているだけ。

これは一体。からかっているってことなんだろうな。

同級生の手前の冗談だったっていうことで受け流していこう。

藤崎社長の笑顔が艶めいていたのは置いておいて。
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