高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
藤崎社長はこれから打ち合わせがあるといって店を出てから解散となった。

ランチをごちそうになっておいしかったはずなのに、なぜか消化不良を起こしているようでお腹のなかがモヤモヤする。

事務所に戻ると、入り口のほうに体を向けて座り、長い足を持て余すように組み、両腕を胸の上で組んでむすっとした時頼さんが待ち構えていた。

「満足そうだな」

「ええ、ご馳走になったので」

時頼さんが思っているような回答ではなかったらしい。

黙ったままこちらをじっとみているので、さすがに突っ立っていたら仕事が始まらないので時頼さんの視線を無視して自分の席に腰掛け、やりかけの仕事に取り掛かる。

「で、兄貴には何かいわれたのか」

時頼さんの声が若干さっきよりも強めだ。

「え、別に何もなかったですよ」

なかったといえば嘘になるけれど、時頼さんにいったところで藤崎社長にアクションするわけでもないし、『いずれ彼女』のフレーズはただのジョークなんだから。

「教えろよ」

気がつけばわたしの左横に立ち、やっぱり胸の上で腕を組んで仁王立ちしている。

「わからないですよ。それに時頼さんに言う必要なんてないと思いますが」

「かわいくねえやつだな」

「……かわいくなくて悪うございましたね」

わたしは仕事にきているんだ。この仕事を誇りに思うために。初日からこんな揉め事をしにきているわけじゃないのに。

なんかいったら余計に油に火を注ぐような形になりそうだし。

「兄貴にそそのかされたか?」

思わず顔をあげてしまう。

時頼さんの顔がさっきよりも近い気がした。
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