高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
時頼さんが打ち合わせで出かけてしまって部屋のなかはわたしと藤崎社長の二人だけだ。

仕事上わからないことが出てきたときは質問するとすぐに教えてくれる。

冗談を本気と捉えてしまったわたしは恥ずかしい気持ちもあったけれど、まずは仕事に慣れないと話にならないなと、自分のできる限りの能力を発揮した。

気がつけばパソコンの時計が終業時間である18時を超えていた。

「つむぎさん、今日はこのへんで終わりにしましょうか」

「……はい」

藤崎社長の雰囲気がさっきよりも艶やかな感じがするのは初日ではりきりすぎて目がかすんじゃったのかな。

気を取り直して机の上を片付けようとしたとき、

「さて、ランチのときに話したことですが」

いたって普通に藤崎社長は話しかけてきた。

どうしたんだろう、ただの冗談をまた繰り返して楽しませようとしてくれているのだろうか。

「あれは冗談ではなかったんですか?」

「他の人間がいる手前、ごまかしてみました」

「え、あの、責任というのは」

空気がさっきよりも重苦しいのは気のせいだろうか。

藤崎社長の目がぎらついているように思える。

「好きになってしまいました。僕の彼女になってくれませんか」

なんというストレートな話。

唐突すぎて藤崎社長が心がこもっているのか、事務的なのか判断がつかない。

「冗談ですよね?」

「もちろん本気ですよ。これがつむぎさんが取る責任です」

ガツンと頭を何かでぶつけたような衝撃とともに、平然とした態度で藤崎社長が話すそぶりにどうしていいかわからずあっけにとられてしまった。

「ちょ、ちょっと強引すぎません?」

「強引? さて、どこがでしょう」

藤崎社長は小首を傾げながらこちらをみている。

自分がいったことの意味をわかっているんだろうか。
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