高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
嫌な妄想が頭の中を駆け巡る。

前任者は藤崎社長から同じように告白されたんだろうか。

「もしかしてここに配属予定だった子は」

「ああ、かわいい子だったんだけどね。仕事ができなくってね。もう少し僕に配慮のある子がいいかなって」

「ちょ、ちょっと。待ってくださいって」

いくらなんでもこんなかっこいい男性からいきなり予告もなしに告白っていうのはおかしいだろう。

「だからっていきなりこういうことって」

「運命を感じました、つむぎさんに」

藤崎社長はやっぱり不思議そうにメガネ越しに目を丸くしている。

この状況は夢なのか、現実なのか。

からかわれているんだろう。

藤崎社長に今の現状を正直にいわないと。

「ちょっと待ってください。わたし、彼氏いますけど」

彼氏の言葉に藤崎社長の目が一瞬だけ鋭くなったが、またすぐに艶やかな瞳に変わった。

「彼氏がいますから、突然彼女にと言われても」

「でしたら、仕事上での彼女というのはいかがでしょう」

それって契約彼女みたいな感じなのかな。

「仕事上の付き合いとしての彼女ですよ。まだお互いのことよくわからないでしょう。これも仕事のうちだと思って僕と付き合うのはいかがでしょうか。僕の頼みを聞いてもらえませんか? つむぎさん」

「仕事の一環ですよね」

出向先1日目でまた別の部署にいくのもつらい。

また以前いたような『かたつむり』状態には戻りたくはない。

「そうですよ。辛い思いはさせませんよ」

「……わたしでよかったら」

すると、藤崎社長は椅子から立ち上がり、わたしの目の前まで歩みよる。

にっこりと微笑み、顔が近づいてきたな、と思ったらおでこに軽くキスをした。

「まず手始めに契約のしるしです。きっと気に入りますよ。この会社も、僕のことも。ゆっくり育てていきましょうね」

そう甘く響く声を耳元でつぶやく。

わたしは藤崎社長の急な行動に何もいい返せなかった。
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