高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
スマホのアラームで目がさめる。

結局由基からのメッセージはなくて、しぶしぶベッドから起きて仕事の支度をした。

クローゼットを開けて洋服を取り出そうとすると、昨日着たスカートスーツのジャケットが手に触れた。

昨日は衝撃的な1日だったから、しっかりとジャケットをみることができなかった。

破けた部分が丁寧に縫ってあり、しかも取れかけてたボタンまでちゃんととめておいてくれてたなんて。

藤崎社長の細やかな部分がみえた。

けれど、すぐに藤崎社長からの彼女発言で朝から体の熱があがりそうになる。

何を舞い上がってるんだ、わたし。

気を取り直してクローゼットのなかをかき混ぜるように洋服を探し、さすがに昨日着たスーツじゃあなと、黒のフレアスカートに白いシャツの上に灰色の長袖カーディガンを羽織る。

髪の毛を昨日と同様に黒いゴムで後ろに束ね、仕事仕様のわたしが完成した。

昨日とはうってかわって雨はあがってはいるが、突き抜けるような青空までとはいかず、湿度だけは相変わらずそのままで生ぬるい風を感じながら通勤客の間をすり抜ける。

深呼吸をして、会社のドアを開けると、藤崎社長は読んでいた本から顔をあげ、時頼さんはパソコンの手を休めてわたしに顔をむけていた。

「おはようございます、つむぎさん」

「おはよう、つむぎ」

「お、おはようございます……」

わかってはいるけれど、この二人と顔を合わせながら仕事をするのか。

2日目にしてすでに会社という枠を超えているような気がするんだけど、ちゃんと仕事に集中できるだろうか。

「つむぎさん、昨日に引き続きよろしく頼みますね」

と、念を押すかのように藤崎社長はわたしに柔らかく言葉をかけてくれた。

昨日のことなんか、嘘で冗談なんですよ、と追加してもらいたいぐらいだ。
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