高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「……ということでよろしくお願いします」

「はい。こちらこそ」

話が終わってそうそう、退席すると思いきや、時頼さんは責任者に近づいて話しかけた。

あ、これって口説きってやつなのかな。

仕事中に何やろうとしてるんだろう。

見せつけるためにわざとわたしをアシスタントなんかに指名したんじゃないだろうか。

「で、お願いなんですが、この隣にいる子に商品、見繕ってもらってもいいですか? あとでお支払いいたしますので」

「え、あ、あの」

当てがはずれた。二人ともわたしの顔をじっとみている。

「はい。新商品がございますので、そちらを」

と、責任者はすぐに電話連絡して、しばらくして部下の女性がピンクと白のロゴが入ったつやつやな手提げ紙袋を携えてやってきた。

「こちらです。よかったらどうぞ」

責任者から直々に紙袋をもらい、中をのぞく。

え、これって、最近CMでやってた売れっ子女優が使っている化粧品だ。

しかも統一フルラインじゃない。

「あ、あの」

「それでは失礼いたします」

と、時頼さんは涼しい顔をして退席する。

わたしもすぐさま挨拶をして、時頼さんを追いかけるようにして会社を後にした。
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