高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「もう一軒回るところがある」

「……はい」

最悪だ。

どうしてここまで意地悪されないといけないんだろう。

スカートを見えないようにゆっくりと歩くものの、信号待ちをしているときに気が緩んでいると向かいで待っている人たちに注目される。

それでも時頼さんはわかったのか、ガードをするようにわたしに近づきつつもスカートを気にしてくれて歩いてくれた。

大通りを挟んだところに、きらびやかなブランドショップが軒を連ねている。

ファストファッションばかりのわたしにとってそんなお店とは縁遠い。

道の一角にあるショーウィンドウには夏らしい水色のワンピースやドレスなどが白いマネキンに着せられ飾られていた。

そのお店に時頼さんは先に入る。

洋服のセレクトショップだ。

多くの洋服や小物がきれいに陳列され、値札をちらっとみると、ゼロの数が多く容易に触れないな、とビビっていた。

時頼さんの顔をみると、艶やかな黒髪をきれいにまとめあげ、ぱりっとした黒いスーツをきた店長さんとおぼしき女性が駆け足でやってきた。

やっぱりその女性もしっかりと対応しているが、やはり目はハートマーク状態だ。

ここも会社の取引先のようで、別のセレクトショップにもアプリの導入について相談させます、と甘ったるい声が聞こえてきた。
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