高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
自分の部屋に戻り、大きな鏡で自分を映す。

野暮ったい洋服に曇った顔の朝の自分と時頼さんに買ってもらったスカートスーツに身を包んだわたしは仕事をして帰ってきたというのに輝いてみえる。

特別綺麗じゃないけど、それでも藤崎社長のわたしを見つめる目は違っていた。

平然とした態度で藤崎社長は冗談がどうもひっかかる。

わたしを変えようとしてるってどういうことなんだろう。

しかもあんなスケスケなランジェリーの画像をみせつけてくるなんて。

ただ時頼さんに買ってもらったこのスーツが気に食わなかったんだろうか。

やわらかく心地よい声がまだ耳元に残っている。

ふと自分があんなランジェリーをつけたら、と考えてしまった。

藤崎社長の腕のなかで大きな指が、わたしの素肌の上に飾り付けているだけの下着を楽しみながら取り去っていくのだろうか。

たらりと、太ももからふくらはぎ、足首にむけて汗が流れる。

なんだか体が熱く感じるのは、雨があがったあとの湿気のせいなんだろうか。

カバンから急いでスマホを取り出し、画面とにらめっこしながら由基に誘いのメールを送信する。

こういうときに限って由基からの連絡はこないけれど、寝るまでずっと待っていた。

わかっていても自分の熱を冷ますには都合のいい理由だった。
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