高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「どうですか、星彦は」

時頼さんが別の取引先にいってそのまま帰ることになって入れ違いで藤崎社長が戻ってきた。

わたしひとりしか事務所にいないことがわかったのか、藤崎社長の顔がいつしなく笑顔だ。

しばらくして藤崎社長の質問がはじまった。

「どうと言われても」

相変わらずよくわからない質問だ。

「ああいう厄介なひとも興味の範疇に入りますか?」

「興味だなんて。ただの仕事上で付き合う仲間のひとりじゃないですか」

「仲間、ですか」

急に藤崎社長の声が沈んだ。

「僕のことは仲間のひとりということになりますか」

「そ、それは、社長と仕事上ですが、彼女として契約したじゃないですか……」

少し寂しそうな目をしたので、困ったあげくの返答だった。

「忘れずにいてくれて嬉しいですよ」

そういうと、藤崎社長は自分の席からわたしの席の隣に立って頭をぽんぽんと触ってきた。

「先ほど星彦から連絡がありました。週末楽しみにしていますよ」

「は、はい」

隣の席に座り、首を傾けながらわたしをじっと覗き込む。

「僕としてはつむぎさんと二人きりで夜を過ごしたかったんですけどね」

「えっ、それは」

「僕は準備万端なんですが、つむぎさんはまだ準備すらできていない状態ではフェアじゃないですからね」

そういって藤崎社長はクスクスと笑っている。

「でも、お酒が入るとどうなるか、正直わかりませんが」

と、藤崎社長はいたずらな少年のようなまなざしを送ってきた。
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