高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
金曜日の仕事帰りに親睦会が行われることになった。

藤崎社長と時頼さんは午前中から午後にかけ外へ出ていて、午後から二階堂さんが事務所にやってきた。

「やったー。片桐ちゃんとふたりっきり」

と、小躍り気味にニヤニヤと笑いながらわたしに近づいてきた。

「今日のお店、予約してくださってありがとうございます」

「いいの、いいの。知り合いだし、片桐ちゃん、気に入ってくれるかなーって、オレ判断だけど」

二階堂さんはにやつきながら得意げに話した。

「そういえばさ、片桐ちゃん、時宗のこと、どうなの?」

「どうなのって、ただの出向先の社長ですよ」

「それだけ?」

「それだけです」

きっぱりと答えると、二階堂さんはがっかりしたのか、口をへの字にまげている。

「興味ないのかあ。あのルックスなら100%興味ありだと思ったんだけど。あのさ、時宗のこと、教えてあげようか」

二階堂さんが座るわたしの後ろにまわり、体をかがむと右の耳元で低い声でささやいた。

「あ、あのちょっと、二階堂さん近いですって」

思わず顔をのけぞると、二階堂さんはまっすぐ立ち、下目遣いで笑っている。

「案外初心なんだね」

「だ、だから、あの」

二階堂さんは、わたしの顔をみて、まんざらでもなさそうに、うんうんとうなづいている。

「知ってるのと、知ってないのとでは違った見方ができちゃうんだよなーって」

「藤崎社長の秘密ですか」

「知りたいよね。ここじゃあなんだからさ、今度ふたりっきりでご飯食べにいこうか。片桐ちゃんのこと、もっと知りたいし。時宗のこと、たっぷり教えてあげる」

そういって、二階堂さんはまた後ろにまわり、大きな両手をわたしの両肩に乗せた。
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