高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「なにやってるんですか。二人で」

藤崎社長が入り口で立ち尽くしている。あわてて肩に乗せられた手を振り払おうとした。

「おや、刺激的だったかな、時宗」

そういって二階堂さんはわたしの肩からすっと手を離し、ニヤリと不敵な笑みをする。

「時宗をどうしたら嫉妬させられるかという相談」

そういって二階堂さんは冗談まじりに笑っている。

「そんな相談いりませんよ。仕事に戻ってください」

怒られちゃったなあ、仕事しよっと、と口をとがらせながら二階堂さんはつぶやく。

藤崎社長は自分の席に座るが、カバンの中から資料の入ったファイルや小物たちを机の上に音を立てながら置いている。

「あの、社長、誤解なんです。二階堂さんが、あの」

「わかっていますよ。ですが、大切なつむぎさんに対して、あんな態度をとられるだけで腹が立ちます」

じろりとにらみをきかせながら、落ち着いた声で話していたので、胸が痛くなった。

「これ以上不安にさせるとどうなるかわかりませんよ」

「えっ、そんな」

「カッコイイこといっちゃって、さすが時宗だな」

「星彦、茶化すな。もう時頼はいっているみたいだから、つむぎさん、行きましょう」

藤崎社長に頼まれた仕事の報告をすませてから、事務所の電気を消し、ドアを開けてエレベーターへ続く廊下を歩く。

藤崎社長が先を歩き、あとにわたしと二階堂さんが続いた。

「今度、必ず教えてあげるから。楽しみに待ってて」

エレベーターが1階に下がり、降りる瞬間、星彦さんはわたしに穏やかな小声で話しかける。

ぱっと顔をあげると、星彦さんはさりげなくウィンクしていた。
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