高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「シーサイドインペリアルホテルまで」

駅でタクシーを拾い、運転手の隣に座る二階堂さんが告げた。

わたしたちが働くビルから東南へタクシーは進む。

ビル群から次第に都心から離れ、15分ぐらいで到着したのは臨海部にあるこの都市では名の知れた30階建ての高級ホテルだ。

黒と茶色、金色を基調とした上質で洗練されたホテル館内のロビーには多くの客が行き交っているがどの人も上質なスーツの男性やドレスアップしたワンピースを身につけた女性が多くみられた。

「あ、あの、懇親会ですよね」

ロビーでエレベーターを待つ時、恐る恐る二階堂さんに尋ねる。

「そうだよ」

二階堂さんは澄ました顔をしながら答える。

「場違いですよね」

「いいの。ウチの親戚がやっているところだから」

と、嬉しそうだ。というか、二階堂さんの親戚って一体どういうひとなんだろう。

「高くないですか」

「いいんですよ、星彦が勝手にやったことですし」

そういうと、藤崎社長は満足そうにうなづいている。

「新作料理の試食してほしいって頼まれてね。経費で払う分、ちゃんと格安にしてもらったし」

不安をよそにエレベーターがやってきた。

「きっと気に入ってもらえると思いますよ、つむぎさん」

と、エレベーターに乗り込むときに、藤崎社長がぼそっとわたしの耳元でつぶやいた。
< 50 / 122 >

この作品をシェア

pagetop