高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
二階堂さんはスタッフを呼ぶと、コック姿の男性が現れ、キッチンに立つ。

鉄板の上で披露されるグリル料理が美しく、味も格別だった。

この場所で浮いているような気がする。

3人ともすっとした姿勢でシャンパンをたしなみ、料理を愛でるように食している。

高級ホテルで個室なんて夢のある場所にわたしがきている事自体、奇跡のようだ。

由基は今頃、なにをしてるんだろう。

わたしがこんな優雅な場所でお酒や料理を楽しんでいる頃、仕事をがんばっているのかな。

「どうかされましたか? つむぎさん」

由基のことを思い返していたところで、L字カウンタの折れたテーブルの前、わたしの左隣に座る藤崎社長が穏やかな声で話しかけた。

「いや、あの、この場所にいていいのかな、なんて」

「この場所で一輪の花のように華やかに咲いていますよ。つむぎさんは」

「別にこんなの、どっかに生えてるタンポポぐらいなもんだろ」

ケタケタと時頼さんが笑いながら半分残ったシャンパンを飲み干している。

「失礼じゃないか。かわいい花ですよ、つむぎさんは」

「オレだったら摘んじゃうかもね。きれいなまんま。誰にも渡したくないかな」

と、わたしをまじろぎもせず見ながら二階堂さんは笑顔を向ける。
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