高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
せっかくの親睦会だし、これ以上、暗い空気でこの空間を満たすわけにはいかない。

「あの、わたしの話はこのへんで。二階堂さんって」

「おっ! 片桐ちゃん、気になるんだ。やっぱりオレのこと。うれしいなあ」

わたしにかぶりつきそうだったけれど、隣にいる藤崎社長が見事にブロックをしている。

「そうじゃなくってさ、星彦さんの正体が知りたいんじゃないの?」

「お兄さんが作家さんでしたね、確か」

「作家というか都合のいいシナリオライターっていったほうがいいかな。オレも手伝ってるんだけどさ」

二階堂さんは頭をかきながら照れ笑いをしている。

「時宗のおかげでいろいろと世界を見させてくれている。動くことでいろんな角度からモノが見えることもあるから」

と、二階堂さんは新しく注文したウィスキーの入ったグラスを持ちながら、感慨深い顔をした。

「雇われているんでね。時宗の手や足になることで得られることがあるってことだよね? 時宗」

「星彦のおかげで仕事がはかどっています。もちろん時頼もだけど」

「だけど、って余計だろ」

時頼さんが突っ込むと二階堂さんと藤崎社長は声をあげて笑っていた。

「だけどさ、片桐ちゃん、時宗の会社に出向できてよかったね」

「……は、はい」

「時宗、見込み以上じゃないかな」

二階堂さんは目尻を下げながら、藤崎社長をみている。

「こら、星彦」

藤崎社長にピシャリと言われると、二階堂さんは、すいませんね、とちろりと舌を出してから、お酒をあおっている。
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