高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
時頼さんの指先攻撃をかわして、化粧室へいこうとしてプライベートルームを抜ける。

用をすませ、化粧室からプライベートルームへ戻ろうとしたとき、廊下の壁に背をもたれかけながら藤崎社長が立っていた。

「あの、今日はありがとうございました」

「素敵なつむぎさんをみられて幸せですよ」

藤崎社長は、たくさん飲んでいたように思えないぐらい、いつもの笑顔をくれる。

「これからも仕事、がんばります」

「もちろん期待していますよ」

藤崎社長の穏やかな優しい声に、どきどきしてしまって下を向いてしまった。

「今度は二人で来ましょうか。この階の真下、スイートルームがあるそうですね。残念ながら今夜は満室だそうですが」

え、と顔をあげると、藤崎社長の顔が近づいていた。

「あら、二人っきりで。抜け駆けはいけませんな、時宗」

唇が触れそうなとき、二階堂さんの声がしたので、わたしはあわてて顔を背けた。

二階堂さんはわたしをまじまじとみながら顔をにやつかせている。

「僕のいる前で話せる内容か?」

「時宗の秘密をすべて公開しちゃおうかなって」

「星彦、お前なあ」

「なーんちゃって。片桐ちゃん、またの機会にしようね。期待しててね」

と、頭に両手をのせながら二階堂さんは戻っていった。

「僕たちも戻りましょうか」

藤崎社長はわたしの腰に自然と手をまわす。

「これも契約のうちに入りますよ」

顔をのぞくと、藤崎社長はうすら笑いを浮かべていた。
< 56 / 122 >

この作品をシェア

pagetop