高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「お泊まりできてうれしかったですよ、つむぎさん」

藤崎社長の甘く響く声に冷静でいられなくなった自分がいる。

黙っていると、わたしの頭をやさしく子猫をなでるように軽くなでた。

頭の先から体の中心にむけてまた熱くなっていくのがわかる。

「い、いえ」

吐息のように言葉を吐いてしまう自分がはずかしい。

「昨日はさぞご満足だったんでしょうね。さあ、ご褒美をもらいましょうか」

すると、藤崎社長はすっと顔を近づけると、そのままわたしに数秒だけキスをした。

「あ、あの」

「つむぎさんが悪いんですよ。そんな甘えたような顔をされたら」

藤崎社長にうつるわたしの顔はそんな顔をしているの?

ますます恥ずかしくなって藤崎社長の顔をみられない。

「これ以上いたら僕の理性の抑えがきかなくなりますが」

「ご、ごめんなさい」

「いたずらにキスをしてしまって火をつけてしまった僕が悪かっただけですよ」

顔をあげると藤崎社長はさっきまでいたずらな瞳をしていたのが嘘のように、普段接するような穏やかな顔をしている。

「反省しなくてはいけませんね。彼氏がいるというのに」

「藤崎社長……」

藤崎社長はベッドサイドから立ち上がると、

「それではそろそろおいとましましょうね。また月曜日に。よい週末を」

そういうと、わたしを置いて藤崎社長はなにもなかったかのように部屋を出ていってしまった。

ベッドから勢い良く起き上がり、玄関まで駆け寄る。ドアを開ける寸前で手をとめた。

わたしにはまだ由基がいるっていうのに。

それなのに藤崎社長に触れたい。触れられたい。触れてほしい。

そんな多くの欲求でいっぱいになってしまった。
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