高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「社長かあ。なんだ、社長だったんだ。そうだ。オレに紹介してくれよ。いい案件持ってるんだよね」

「う、うん」

「昇進したらうんとうまい飯といいホテル予約してやるからさ」

声をはねさせながら由基はいう。

久々に抱きしめられているのに、どういうわけだか早く密着した体から離れたくなる。

「あのさ、由基、わたしとつきあってるんだよね」

「ああ、もちろんさ。で?」

わたしの顔に近づき、にこっと笑いかける。

口元がひきつっているようにみえるから偽りなんだろうな、とぼんやりとみつめた。

「こんな状況でいいのかな、って」

「嫌いじゃなかったらこうやって会わないだろ」

「そうだけど」

「どうした? 最近ご無沙汰だから体がうずいているのか?」

と、由基はおもむろにわたしのお尻をなではじめた。

「……ちょ、ちょっとやめて!」

「どうしたんだよ。つむぎ」

自分でもわからない。

普通だったら由基の要求にはこたえられるはずなのに。

由基の手をはねのけてしまった。

「ごめんなさい。今日はちょっと」

「そっか。わかったよ。社長さんによろしくな」

と口をゆがませながら、由基はさっさとわたしの部屋から出ていった。

これって本当に付き合っているっていえるのかな。よくわからなくなってきた。
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