高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
もんもんとした想いを胸に月曜になり、会社へ向かう。

社長の姿はなく少しほっとした。

事務所のなかには、時頼さんと二階堂さんの姿があった。

「おはようございます」

「つむぎ、おはよう」

時頼さんがそうぶっきらぼうにいいながらも、むすっとしている。

「時頼、そんな顔するなよ。片桐ちゃんが困ってるだろ。せっかく予約したバー、一緒にいってあげたのに」

そういうと、二階堂さんがへらへら笑っている。

「昨日はどうも……。社長は?」

「時宗は打ち合わせだって。一緒に帰ったから時宗のこと把握してるとばっかり思ってた」

二階堂さんはいたずらに目を細めている。

時頼さんは二階堂さんがおもしろおかしくしゃべっているのに、ガタンと大きな音を立てて立ち上がる。

「打ち合わせいってくる。つむぎ、これまとめておけ」

と、分厚い資料とファイルを渡すとカバンを持って事務所から出ていった。

「あ、はい」

時頼さんにもらった資料を机に広げていると、

「あらあら、すねちゃって。ヨリのこと、怒らせちゃったのかな」

と、二階堂さんは相変わらずのんきに笑いながらわたしの背後に立った。

「時宗がいないから特別に教えてあげようか」

そういえば二階堂さんはしきりにわたしに何かを教えてがっていたっけ。

「片桐ちゃんは、さおりさんの話は時宗から聞いた?」

「さおり……さん?」

「あら、まだいっていなかったか」

二階堂さんは頭を抱えてしまった。

「誰ですか?」

「大学時代に付き合って婚約したひとなんだけど」

社長に婚約者がいたんだ。

急に胸が苦しくなった。
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