高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
自宅についてもまだ熱が冷めなかった。

彼がいるっていうのに藤崎社長に心が傾いている。

藤崎社長は契約として接しているだけなのはわかっているのに。

眠れないまま朝を迎え、事務所にいくと藤崎社長がいて忙しそうに資料をカバンに詰め込んでいる。

「おはようございます……」

「つむぎさん、おはようございます。週末まで懇談会と経営セミナーを兼ねて出張へ行ってきますよ」

出張という言葉に少しだけホッとしたのと同時に藤崎社長の顔がみられないんだという寂しさが芽生えた。

資料をみつめる藤崎社長からその指先をたどってしまうわたしがいる。

昨日の帰りにしたことなんてどうも思っていなさそうだったから、わたしも気にもとめないで仕事の準備をはじめた。

「昨日は眠れましたか?」

藤崎社長はわたしの座る席に静かに近づいてきた。

「……いえ」

「あんな声をあげては身体の熱が冷めずに眠れませんよね」

藤崎社長は目を細め、棚に視線をうつしている。

昨日の帰りのことをまた再現しようと思っているんだろうか。

「いい子にしていてくださいね」

「……もういい大人ですよ」

「悪い虫がつかないようにおまじないをしておきましょうね」

藤崎社長は身体を折り曲げると首筋に自身の唇を這わせる。

首筋とうなじ付近へ皮膚を強く吸い上げた。

「あ、あの」

「彼氏さんにもみせられませんね」

ぺろりと藤崎社長は舌なめずりをしながらわたしを見下ろした。

「おまじないの効力、帰ってきたらきかせてくださいね。それではいってきます」

わたしは何も言い出せないまま、藤崎社長はカバンを持って事務所を後にした。
< 70 / 122 >

この作品をシェア

pagetop