高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「オレだったら彼氏がいてもいなくても、今すぐにでも片桐ちゃんのこと奪っちゃうけど」

二階堂さんは穏やかな口調になって急に真顔になってわたしをみつめてきた。

「あー、また困った顔して固まるし。冗談だから冗談。で、そのこと時宗には話したの?」

「……話してません」

「さて、こんな話聞いたら時宗、どういう態度とっちゃうんだろうね」

二階堂さんはケラケラと笑っている。さすがに藤崎社長のことだなんて、言えない。

「困ったらいつでも頼っていいよ。もちろんあっちのほうでも構わないし」

「あっちって?」

わたしの襟元をちらりとみると、二階堂さんはくすっと笑った。

わたしは藤崎社長のつけた跡を急いで手で覆う。

「エッチのこと。こうみえてオレ、悦んじゃうぐらいテクニックすごいんだよ」

「もう、からかわないでくださいって」

「またその後のこと、教えてよ。最悪、オレのテクニックで慰めてあげるから」

二階堂さんの下らない話を聞いておかしくて笑っていると、時頼さんが営業から戻ってきた。

「あれ、二階堂さんいたんだ」

「いちゃ悪いか?」

二階堂さんは両腕を頭にのせて時頼さんの隣の席に座る。

「いえ。別に」

時頼さんは無愛想な顔で自分の席に腰掛けた。

「つむぎ、出張の兄貴の代わりに仕事みるから」

「は、はい……」

時頼さんをみると、やっぱり表情を険しくしながらパソコン画面を睨んでいた。
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