高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「俺さ、つむぎのこと、好きになった」

耳元でやさしく響く声でゆっくりとつぶやいた。

冗談でしょ、と言おうと後ろを振り返ろうとした途端、

「彼氏と別れろ」

時頼さんはたたみかけるように冷たく言い放った。

「キスマーク、ついてる」

「こ、これは」

後ろから時頼さんの視線が首筋に集中しているのがわかる。急いで首筋を手でかばった。

「もういいよ。俺はつむぎのことが好きだから」

そういういと、ようやく時頼さんの両腕から解放された。

「わたしは……」

時頼さんの気持ちを受け入れられない。ただでさえ彼氏と藤崎社長の間で揺れているというのに。

「とりあえず俺の気持ち、伝えたから」

「返事もなにも、時頼さんのことは別に」

「彼氏オンリーってわけか。うらやましいな」

時頼さんの人差し指と中指が藤崎社長がつけた首筋の跡に触れた。

どきんと甘い痛みが全身を包み込んだ。

「まあいい。俺はつむぎのことが好きになったんだ。遠慮なく行動させてもらうから」

「……時頼さん」

「早く彼氏と切ってさっさと俺の所に来いよ」

「それは……」

「待つのも醍醐味かもしれないな。楽しみにしてる」

時頼さんは自信があるのか、口元のみで笑うとわたしの頭を軽く撫でた。
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