高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
ようやく今週も終わりに差し掛かった。

相変わらず時頼さんに接するときはぎこちない。

それを時頼さんは楽しんでいるかのようで、近づいては肩や指先に触れようとしてきたりした。

「つむぎ」

後ろを振り向くと、時頼さんの顔が近い。

藤崎社長と同様に端正な顔立ちだなと見とれてしまう。

「どうした、俺の顔覗き込んで。キス、してみる?」

「やめてください。もうじき社長が戻りますって」

気持ちを切り替えて、前に顔を戻して仕事を続けた。

「そっか。意中の彼氏ときれてないからな。やめておいてやるよ」

「ごめんなさい、わたし……」

おまじないの効力が切れかかった金曜日の午後、ようやく藤崎社長は出張から戻ってきた。

「ただいま戻りましたよ」

両手に紙袋をいっぱいぶらさげ、藤崎社長は穏やかな笑みを浮かべている。

「もう帰ってきたのかよ」

時頼さんはため息をもらし、無愛想な顔に戻っていた。

「帰っちゃまずいことでもあるのか、時頼」

「別に。せっかく二人きりだったからってこと」

「それは残念だったな、時頼。それよりも僕は早くつむぎさんに会いたくてたまりませんでした。あとでお土産を差し上げますね」

「え、あ、はい」

「つむぎ、何か変だぞ」

「どうしたんですかね。顔、赤いですけど」

藤崎社長の久々の声に体が反応してしまった。
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