高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「黙っているということは、効力はあったわけですね。もっとつけてあげましょう」

「もういいです。これ以上は」

同じところに唇をはわせるのと同時にわたしの口元から吐息がこぼれる。

わたしの甘い反応に藤崎社長はやめてくれなかった。

「せっかく……消えたのに」

「これはどうでしょうかね」

と、ジャケットのポケットから黒とオレンジと白が基調のシルクのスカーフをとりだすと、首元にスカーフを滑らせて結んでくれた。

「商談先でみつけたものでしてね。きっとつむぎさんに似合うと思って買ってきました。これで安心ですよね」

「安心って」

「つむぎさんがこのスカーフをしてくれているときだけ、僕たちだけの秘密が隠されていますから。これで堂々と跡を残せますね」

にこやかに笑っているはずの藤崎社長の目はずっとわたしをとらえて離さない。

後ずさりその場をあとにしようと試みるも、すぐさま大きな手がわたしをつかんで腕の中へと閉じ込めた。

「久々につむぎさんにこうやって向かい合えるだけで幸せなんですが、時頼がまだいるうちにつむぎさんを熱くしてあげましょうか」

てのひらや指が次第に腰から下へと向かっている。

「や、やめてください!」

震える声をあげてると、ぴたりと指先の動きをやめて、藤崎社長は残念そうに口を閉じ、頭を縦に一回振った。

「今回は許しましょう。ただこれだけはさせてもらいますが」
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