高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
藤崎社長が荷物を届けるのも許可するのもむりないか、と納得した。

わたしの心配をよそに藤崎社長は澄ました顔をしているし、時頼さんはつむぎ、何ぼーっとつったってるんだよ、と文句をいっているし。

このままいたら面倒なことに巻きこまれそうな気がしてきたので、

「あの、もう用事も済んだことですし、わたしはこの辺で」

と二人に一礼して戻ろうとしたとき、藤崎社長は廊下の真ん中に突っ立ったまま動こうとはしなかった。

「今夜は用事がありますか?」

「ないだろ、だからこうやってウチにくるんじゃねえの」

時頼さんはむっとした表情をしている。

「特にありませんが」

「よければ時頼のお使いのお礼にご馳走しますよ」

十分困っているのにもかかわらず、藤崎社長は平気な顔をして笑いかけた。

「あ、あの」

「ウチあがれよ、つむぎ」

と、時頼さんがわたしの腕を引っ張って玄関のドアを開けて中に入る。

相変わらずぶっきらぼうな言い方をしますね、と苦笑いしながら藤崎社長も続いた。

白い大理石が一目を置く玄関を抜けて、長い廊下を渡るとリビングに通される。

リビングは大きなソファとテーブルが置かれ、2階に通じる階段が設置された吹き抜けがある、2層のメゾネットタイプのぜいたくな空間だった。

「まったく、いい加減、いつになったら出るんでしょうかね、このウチを」

藤崎社長は革張りの黒のソファにどうぞ、と進めてくれたのでしぶしぶ座ると、時頼さんはわたしの横にどかっと陣とるように背もたれに体を預けていた。

「別にいいだろ。親が残してくれたんだし。使うのは自由」

「彼女ができるたびにウチには寄らなくなりますが」

藤崎社長はクスクスと笑いながら、リビングの奥に消えた。

やっぱりそれに同調するように時頼さんはむすっとしていた。


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