高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
ソファから隣のダイニングテーブルにうつり、藤崎社長と時頼さんがわたしを囲むように座り、藤崎社長が提供してくれた。

お皿にきれいに盛り付けられたサラダ、ローストビーフや魚介類のアヒージョ、エビのビクスやロールパン、最後のシャーベットと、手の込んだ料理はどれも美味しかった。

「少しだけ修行してたんだっけ?」

時頼さんは食後のコーヒーをゆっくり飲みながら話しかけた。

「あれはビジネスの一環だ」

「腕前は一流だな。ビジネスならなんでもやってのける兄貴はさすがだわ」

コーヒーカップを持ちながら、時頼さんは皮肉交じりに言い放つ。

「割り切りはビジネスにとって基本だ」

藤崎社長は突っぱねた。

冷たさを感じた言い方に少しだけ胸が苦しくなった。

「はいはい、ごちそうさん」

時頼さんは立ち上がり、用済みの皿を片付けはじめた。

わたしも立ち上がって、

「あの、手伝いますけど」

「俺の手伝いしておけ」

「時頼、つむぎさんはゲストなんだから丁重に扱え。つむぎさんはゆっくりなさってください」

「ちぇっ」

時頼さんは舌打ちしながらキッチンへ皿を運ぶ。

「藤崎社長、こんなに豪華でおいしい料理をありがとうございました」

「そういってもらえて光栄ですよ」

さすがにずっと藤崎社長をみつめているわけにはいかないので、清潔感のあるモノトーンでしめているインテリアを眺めていた。

「ちょっとお手洗い借りてもよろしいですか?」

「どうぞ。廊下を渡ってもらえればわかるかと」

席を立ち、キッチンとは逆の藤崎社長の指差すほうへと向かった。
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