高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
2階の階段の奥にある風呂場や洗濯機のある洗面室の隣から用をすませて戻る。

茶色の床の廊下を渡っていると、少しだけ扉が開いていた部屋があった。

薄暗い部屋に廊下の明かりが差し込んでいて、本棚が並ぶ部屋の奥の机の上には写真たてがみえた。

そのまま、吸い込まれるように部屋の中へ入ってしまった。

髪の長い女性と見覚えのあるグレーのジャケットを着たにこやかに笑う藤崎社長の姿だった。

「人の部屋を勝手にのぞくなんて悪趣味なんですね」

振り返ると藤崎社長が部屋のドアの前にふさぐようにしてたっていた。

ゆっくりと部屋の中に入り、わたしの脇に立つと、机の上に置かれた写真たてをふせた。

「あ、あの」

「さて、この隣は時頼の部屋なんですよ」

部屋のドアは開けっ放しの状態でわたしを抱きすくめた。

「どうしましょうね。声あげてしまうと聞こえてしまいますよ」

耳元で藤崎社長はささやき、強引に唇を奪われた。

「んっ……」

「我慢しなくてもいいんですよ。時頼にきかせてあげましょうか」

首元のスカーフを取り払われ、首筋から鎖骨にかけて舌や唇で味わうように肌の感触を確かめている。

「や、やめて……」

スカートの裾から侵入してくる藤崎社長の指先を押し返そうとしても諦めることなく力をかけてやってくる。

「ゲストのつむぎさんには、特別に甘美なものを味わってもらわないと。フルコースにはなりませんから」

差しのべられた指先が熱く硬くしまった芯にたどり着いてしまう。

「……やっ、こ、こんなところで」

かすれた声をあげてビクンと体がしなると同時に藤崎社長はわたしの唇に自身の唇を覆いかぶせた。
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