高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「片桐ちゃん、大丈夫?」

息をきらせながら、ベッドのある部屋にスーツ姿の二階堂さんが来てくれた。

さすがにシャツがはたけているのでシーツにくるまった。

「だ、大丈夫です」

「星彦さん、つむぎ、これはどういうことだ」

「……ごめんなさい」

体の力が抜けると同時に涙があふれた。

「あーあ、片桐ちゃん泣かしちゃって。片桐ちゃんのこと好きだってわかるけどさ、どうするつもり?」

「それは……。好きになればいいだろ、俺のこと」

「むちゃくちゃだな。意中の彼がいるんだから、付け入る隙なんて与えないと思うんだけど」

「……時頼さん」

「もういい! せっかくいいチャンスだったのに。興ざめだ」

時頼さんは大きくドアを閉めて帰っていってしまった。

二階堂さんはまいったね、と苦笑いを浮かべて着替えておいで、とベッドのドアを閉めてくれた。

乱れた服を整え、まくらの横にあったスカーフを首に巻いてリビングの部屋へいくと、二階堂さんはソファにゆったりと腰掛けていた。

「怖かったね」

「……ありがとうございます」

「いいよ。ここの支配人と親がつながっててね。事情を説明したら納得してくれて。この近くで仕事しててよかったよ」

二階堂さんのネットワークの広さに感謝したら、また涙腺がゆるみはじめた。

「今日は泊まっていきなよ。オレが面倒みてあげるから」

「えっ」

「冗談。こんな状況じゃあ楽しめるものも楽しめない。代金はこっちで持つよ。ルームサービスでも頼んで今夜はゆっくり休みなよ」

二階堂さんはソファから立ち上がり、それじゃあおやすみ、と手をひらひらと振りながら部屋を後にした。
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