あなたに捧げる不機嫌な口付け
ひどいと詰るのは簡単だ。


それでも、俺が好きになった女子高生はそういう人なのだ。

それだから俺は祐里恵を好きになったのだ。


離れて行くなって騒いだけど、実際本当にそばにい続けたなら、俺はきっと、離れて行くのより不満を抱いたに違いない。


それなら仕方ないだろう。


それなら飲み込むしかないだろう。


もう一度求めるふりすらできないまま終わるのか。やり直せないのか。

俺に機会があれば、もう一度会えたなら。


ずっとそう思っていた。今度こそ失敗しない。


俺は祐里恵が好きだ。

祐里恵の考え方が、何より好きだ。


その意地っ張りな横顔に恋をしたなら、あのあやふやにすぎる関係のままそばにいて欲しいと望むのは間違っていた。


……だから、仕方がなかったのだと今は思う。


祐里恵が清算してくれてよかったと思う。


だってそうだろう。


ちゃんと恋人として隣にいてくれる方が、ずっとずっといい。


祐里恵はそういう人だというのは、もう嫌というほど思い知った。

俺の傲慢さからの不手際は、もう嫌になるほど反省した。


だから、今度はもう間違えない。選択を間違ってなんかやらない。


取り戻したこの隣を離してなんか、やるものか。
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