あなたに捧げる不機嫌な口付け
付き合ってなんて言わなくても、きっとちゃんと付き合っているんだと思う。
好きだとお互い言ったから、それでいいのだと思う。
好きだと言えば、彼氏になると言った。
でも。
やっぱり確約が欲しくて。
だって、口約束のままじゃ、あの曖昧な関係みたいで。
……うん。多分俺は怖いんだ。
また曖昧になって、口約束だからって流されて、終わりになってしまうのが怖いんだ。
「ねえ、祐里恵」
それなら、まずは目印を、目に見える形で一つ作ろう。
「『さん』って外してくれたりする?」
「え?」
祐里恵がぽかんとこちらを見上げた。
「……ごめん、違うって分かってるんだけど」
慎重に言葉を選ぶ。
祐里恵を疑ってるわけじゃない。
この呼び名に親しみを込めてくれているって、ちゃんと知っている。
でも、せっかくの呼び名なら、親しみ以上が込もったら、呼ばれる度にもっと嬉しいと思う。
「分かってるんだけど、でもほら、恭介さんの『さん』は線引きだったから。この関係では『さん』は外さないって、あのときの祐里恵は言ったから」
だから、外れたりしないかなって思って。
なるべく冷静に冷静にと唱えながら言うと、祐里恵がくしゃりと顔を崩した。
好きだとお互い言ったから、それでいいのだと思う。
好きだと言えば、彼氏になると言った。
でも。
やっぱり確約が欲しくて。
だって、口約束のままじゃ、あの曖昧な関係みたいで。
……うん。多分俺は怖いんだ。
また曖昧になって、口約束だからって流されて、終わりになってしまうのが怖いんだ。
「ねえ、祐里恵」
それなら、まずは目印を、目に見える形で一つ作ろう。
「『さん』って外してくれたりする?」
「え?」
祐里恵がぽかんとこちらを見上げた。
「……ごめん、違うって分かってるんだけど」
慎重に言葉を選ぶ。
祐里恵を疑ってるわけじゃない。
この呼び名に親しみを込めてくれているって、ちゃんと知っている。
でも、せっかくの呼び名なら、親しみ以上が込もったら、呼ばれる度にもっと嬉しいと思う。
「分かってるんだけど、でもほら、恭介さんの『さん』は線引きだったから。この関係では『さん』は外さないって、あのときの祐里恵は言ったから」
だから、外れたりしないかなって思って。
なるべく冷静に冷静にと唱えながら言うと、祐里恵がくしゃりと顔を崩した。