ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「ありがとうございます」

「俺、小陽さんよりも年下だし、タメでいいですよ」

「タメは少し抵抗があります」

柾貴君も腰を下ろした。

私はコーヒーにシロップとミルクを入れる。

「シロップ一つで足ります?」

「大丈夫ですよ」

私が笑顔で返すと柾貴君は頬を仄かに赤く染めた。


「柾貴君?」


「あ・・・いや・・・なんでもありません。気にしないで下さい」


「柾貴君の電話の声って、柚希君に似てますね」

「柚希さんに?」

「二人は従兄弟同士なんですよね・・・」

「従兄弟と言っても格差ありますけどね・・・」

柚希君は相馬本家の後継者。柾貴君は・・・
対等ではないのは確かだけど。


柚希君の話はしない方がいいかな。
私は話題を変えた。


「柾貴君、何の本を読んでいるの?」

「ゲーテの格言集ですよ」

「ゲーテ??
私もスキですよ。ゲーテ」

ゲーテを読む男性に出会ったのは初めてだ。

「柾貴君って本読むのスキなの?」

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