ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「拓真さんから何も訊いてませんか?」

「何を?」

「俺が作家だって」

「作家?柾貴君って小説書くの?」

「まぁ、推理小説ですけど・・・」

「へぇー…」

私は渇いた喉を潤そうとストローでアイスコーヒーを啜った。

「ゲーテの格言集読ませて貰ってもいいですか?」

「どうぞ」

柾貴君は本を貸してくれた。

「懐かしいなぁ~高校時代に読んで以来だ・・・」

私は懐かし気にページを捲る。

「その本差し上げますよ」

「で、でも・・・柾貴君の読みかけでしょ?」

本には栞を挟まっていた。


「いいんですよ。俺は拓真さんにように小陽さんに高価なプレゼントは出来ないし」

「柾貴君?」

「今の言葉は気にしないで下さい・・・」
柾貴君は顔を逸らしてスマホを弄り始めた。

よくわからない空気が漂う。

柾貴君のコトも幼い頃から知っていた。
拓真さんの弟・稜真君にくっついていた大人しめの男の子だった。
やんちゃな稜真君とは正反対で性格で、稜真君に振り回されているようで可哀想に見えた。



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