ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
つまらないプライドは捨てるしかない。
俺は金曜日、有休を取って小陽の不妊外来に付き添った。

医師に言われるまま俺は『精液検査』を受ける。

「・・・」

看護師が俺を個室に案内する。入るとテレビの前にはアダルトのDVDが置かれていた。

ここで?・・・屈辱的だった・・・

後はどんな検査を受けたのか憶えていない。


長い1日だったーーー・・・


待合から見える全面硝子の向うの中庭は夕映えに染まる。
小陽は一人でソファに腰を下ろして俺を待っていた。


「お疲れ様です。拓真さん」

不機嫌に歪んでいた顔に少しだけ笑みが戻る。

「結果は1週間後だって・・・」

「今夜は何が食べたいですか?」

「適当でいいよ」
食欲も湧かなった。避けては通れない道だけど、出来れば避けたい道だった。

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