ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
結果の出るこの1週間は地獄で、仕事にも身が入らない。

不妊の原因は自分自身にあった。
俺には精子が全くないと医師から告げられた。手術をすれば治ると励ましてくれたが、それ以上に自分は男性としての機能がないんだと思うと情けなくなった。

プライドを著しく傷つけられた。


病院から帰るなり、俺は何も言わず書斎に閉じこもってしまった。


「拓真さん…夕食部屋の前に置いておきますね」


落ち込んだ俺を懸命に励まそうと明るく振る舞う小陽は鬱陶しくて、つい冷たく当たった。
それでも、小陽は俺に優しく声を掛ける。


今まで順調に行っていたのに、俺は思わぬ所で躓いた。

書斎に持ち込んでいたワインをラッパ飲みして、酔いで全てを紛らす。



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