ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
俺はバツの悪そうな顔で返すとソファに腰を下ろした。


「話か?」

「淡路さんから訊いた。淡路さんを川下部長の秘書に異動させて、月曜日から来る小陽を俺の秘書に据えるって」

「親しげに伊集院元総理の令嬢を呼ぶな。小陽さんと呼びなさい」

「分かった。それよりも、どうして小陽さんが俺の秘書なんだ?親父の秘書にすりゃいいだろ?」


「恐れ多くて、俺の秘書には出来ない」

「俺だって出来ねぇよ。大体、小陽さんは椎名衆議院議員の公設秘書じゃなかったのか?」

「椎名衆議院議員の公設秘書は退職したらしい。
政界で繰り広げられる争奪戦に疲れたんだろう」

「何の争奪戦?」

「小陽さんと結婚して、元総理と親戚になろうと企む政治家が多くてな。小陽さん自身も疲れてしまって退職したようだ」


「ふうん」
俺は適当に頷いた。

政界では、伊集院家の力は大きいからな。

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