下宿屋 東風荘
しばらく待ちながらも何も現れないので、そのまま放置し、社の中で寛ぐ。

「全く……見た目は小さい神社だが、妖気でどのような狐が守っておるかぐらいは分かるであろうに……」

ふと、風を感じたと思ったら隣町の神社の狐がやって来た。

「珍しいねぇ」

「悪孤来たか?」

「今吊るしてあるよ?見るかい?」

「吊るしても目を離せばすぐに逃げられる。臭いを追いかけてきてここに着いたんだ」

「ほら、あそこ……見える所に吊るしてあるから、君もどうだい?」と酒を勧める。

「冬弥さん、ここは春の神社だ。俺の所は秋。冬の爺様は……」

「知ってるよ。私が最後まで看取ったからねぇ」

「最近悪孤や野孤が集団で珠を狙ってきてるのは知ってるのか?」

「知らぬ」

「この辺りの小さいところはみんなやられてしまったぞ?それを知らんとは!」

「夏はどうなった?」

「結界で強化しているらしい。罠もかけてるから近付いたらこっちがやられるよ」
< 36 / 91 >

この作品をシェア

pagetop