下宿屋 東風荘
「ふん、那智のやつのやりそうな事よ。あやつの名前知っておるか?」

「何?」

「夏智だ。何故か春夏秋冬が揃ったら嫌だと抜かして変えおった。が、本来の名は夏智だから、字を変えても無駄なのにねぇ。その珠を狙ってるってのは噂だけじゃなかったんだねぇ?」

「最初は那智さんも色々と探っていたみたいだけど、あまり情報がなくて一度やめたらしいんだ。爺様の珠が無くなってたから、取られたんじゃないかと思ってさ……」

「私が預かったよ。次のものに継がせろと預かってる。いつ降りてくるのかはわからないけど……爺さんはそれなりに強かったが、妖気が少なかったから体内に隠してなかったんだ。だが、千年以上分の力がこの珠にはちゃんと宿ってる。爺さんのその前の代の分もあるからねぇ。秋彪(あきとら)、お前はまだ小さい。余り首を突っ込まぬほうが良いのだが……」

「小さいって言うなよ……もう半分には達した!」

「そうだったねぇ。あの神社……今私が三匹に守らせているが、手を貸すかい?」

「勿論だ!アソコは尾の部分だから……」

「今、人間達が取り壊そうとしてる。が、古墳があるからまずそのままにしておくだろう。念のためだ。余り体から影を離しすぎるのも良くないのは知ってるね?」

「今何日だ?」

「まだ半日ほどだから、半月は大丈夫だけど……那智の術には一目置いてるんだよ?これでも。だから、那智に結界を。秋彪は2匹ほど守りに出してくれるかい?」

「2匹か……交代で出せば大丈夫かな?影も俺より小さい……くそっ!小さいって言っちゃったじゃないか!」

「頼りにしてるんだよ?私も半月で交代させるから、那智にもその事を伝えておいてくれないかい?」

「分かったよ」

「後、落ち着くまで社は離れない方がいいと思うよ?__っと、お客さんだねぇ」と吊るしてある木の方を見る。
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