下宿屋 東風荘
「ちょっと此処で待っておいで」

木の上に立ち、袖に手を通したまま相手を観察する。

「悪孤じゃぁないようだねぇ?野良かい?」

「……」

「最近の神社の狐狩はお主の仕業かね?」

「……だったらどうする?」

「ここいらの神社は渡さないからって伝えておいておくれ」

そう言って、野孤が影を連れていくのを見てから、秋彪の方へと戻る。

「なんで倒さなかったんだよ!」

「一匹つけた。ある程度までは追ってくれると思うんだけど。兎に角そういう事だから」

「もう、いつも飄々として何考えてるか全然わかんないよ!伝えるけど、きっと納得はしないと思うよ?」

「今はそれでいいよ?まだ何にもわかってないんだ。那智でもその位はわかってる……」

「那智の所に行ってから俺も戻る。何かあったら教えてくれ」

そう言って帰っていったが、勝手な行動をしないといいのだが……そう思いながらも、そろそろ配達が来ると思い下宿に戻ることにした。
< 38 / 91 >

この作品をシェア

pagetop