下宿屋 東風荘
そう言ってから、神社を出て通りを進み、人影のないところで姿を現す。

買い物に八百屋・魚屋・肉屋と周り、日用品も買い足して帰ろうとした時に、コン!と後から声がした。

「風邪かい?何ならまとめて持って行ってあげるけど」

勘のいい人なのだろう。
狐の声を私の席だと勘違いしたようなので、夕方にお願いしますと言い、お金を払って配達を頼む。

持ち物もなくなったので、そのまま自宅に帰り、全ての狐を出す。

「お前達、感のいい者もいるんだこら気をつけなさい」

「すいません。我等3匹、一旦爺様のところから戻りました。交代を……」

「何があったんだい?」

「悪孤が来たのです。それを秋彪様の影が最初に応戦したのですが、数が多く、我らも戦ったのですが、那智様の影は手を抜いていたように見えました……問い詰めようとも思ったのですが、それも叶わず、悪孤は倒して跡形もなくなったのですが、秋彪様の影の手当と、報告を優先したので遅くなりました」

「そうかい……影は運んだのかい?」

「既に」

「御苦労様だったねぇ。今日はみんなが帰るまでここでゆっくりするといい。神酒も揚げもあるからね。私は昼から野暮用だから、下宿には来ちゃぁ行けないよ?」
< 47 / 91 >

この作品をシェア

pagetop