好きだなんて言ってあげない


ちょうど太い柱の陰になり、観葉植物で視線を遮られ、「予約」と書かれた隣のテーブルからはのぞき込まない限り見えないだろう。

「専務たち、隣に座るんですかね」

後ろから山岸の声がして、隣には佐野さんがいた。2人が並んで座り、その対面にわたしが座る。

「矢口さん、上機嫌でお仕事あがってましたよ。なんでもちょっと前に窓口で弁護士さんから合コン誘われたって」

佐野さんがメニューを開きながら教えてくれた。


それが専務のトラップなのだろうか?


フルボトルで適当なワインを頼み、何品か料理を見繕う。洋風のちょっと高級な居酒屋みたいだ。

3人で飲み始めた頃、入口が少し騒がしくなり数名の男女が入ってきた。

矢口とその取り巻き3人、男性が3人。

矢口はいつもにも増して気合いが入った格好だ。


わかり易い女。



男性はスーツ姿が2人。めっちゃイケメンとは言わないまでも、デキるビジネスマンといった風情だ。一番後ろから入ってきたのは背の高い、カジュアルな服装の男性。

どこか見覚えがあるような服装なのは全国展開どころか海外にも店舗を広げる有名なファストファッションのものだからだろうか。

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