好きだなんて言ってあげない


頭はボサボサ、ボディバッグを無造作に肩にかけ、メガネは牛乳瓶の底かというようなレンズに黒いセルの縁。

他の2人とは明らかに異質だ。


口にしたワインを吹きそうになった。


専務・・・・・!


山岸と佐野さんも気が付いたらしく唖然としている。


隣のテーブルに座り、スーツの男性の一人が仕事であと一人が少し遅れると詫びた。

自己紹介が始まりスーツの男性たちは弁護士だと分かる。専務の声はボソボソと喋り、小さくて聞こえ難い。それでも興味がないのだろう。女性から聞き返す声は皆無だった。


専務は何を考えているんだろう・・・・・?


てっきりいつものような完璧なイケメンで手酷く矢口をふるのだろうと想像していた。

料理が運ばれてきても、隣が気になって手をつける気にならない。それは山岸も佐野さんも同じようでテーブルの上のものが全く減らない。

「趣味は料理とショッピングです」

矢口の鼻にかかった声。合コン仕様か?

「へえ、料理ってどんなものが得意なの?」
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