好きだなんて言ってあげない
「ひどっ・・・・・!なんやの?なんでこんな騙すようなことするの?」
矢口が青くなって言い返した。
「騙してへんやろ、オレらはホンマに弁護士やし結弦かてある意味洋服屋やんか。キミらのレベルに合わせて簡潔に言うただけで」
「カッコ変えて、肩書入った名刺貰った途端手の平返すような態度とか笑える」
矢口以外の女の子たちも痛いところを突かれて反論できない。
「職業で寄ってくる女の子なんてお断りやし、セレブ妻目指すならもっと謙虚になって知性を磨くんだね。連れて歩くだけのカラッポの女の子やったらキミより綺麗なコいくらでもいてる」
男性は誰一人声を荒げたりはしていない。寧ろ口調は穏やかだ。けれど矢口たちは相当傷付いているはずだ。どれも真実だから。
いつの間にか店内がシンとしていて、周りからも物珍しそうに見られ、我慢も限界だったのだろう、矢口がバッグを持って立ち上がった。
他の女の子たちも矢口にならうようでそれぞれ立ち上がり店を出て行こうとする。
「あ、矢口さん!」
専務が呼び止めた。
矢口がキッと振り返る。
「女の子、3000円ずつ。奢ってあげられるほど楽しませて貰ってないし」
専務がこれ以上ないほど綺麗に微笑んだ。
矢口がテーブルに叩きつけるように一万円札を置き、一度も後ろを見ないで出て行く。