好きだなんて言ってあげない
走ってくる空車を見つけ、右手を上げて止める。乗り込むと横から押されて奥にやられた。
専務が不機嫌を隠しもせず乗ってきてわたしの知らない住所を運転手さんに告げる。
泣いている顔を見られたくなくてそっぽを向いた。
10分ほどで目的地に着いたらしい。腕を引っ張られてタクシーから降ろされた。
「せ・・・・・専務、今日はわたしその気になれへんし・・・・・!」
無言で引っ張られてマンションのエントランスに引き込まれ、そのままエレベーターに乗せられる。
最上階の部屋に連れ込まれて豪奢なソファーに投げられるように座らされた。
専務の部屋だろうか。広いけれどまるでモデルルームのように生活感のない部屋。
「なんで何も言わずに帰ろうとするわけ?」
静かに問われるのが却って怖い。
「・・・・・・・・・・ごめん」
「しかも泣きながらとか」
言えるわけない。
セフレなのに今更自分の気持ちに気付いたとか。
「オレ、ちゃんと仕返ししてやったやろ」