好きだなんて言ってあげない
スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩める専務はわたしから目を逸らさない。
「うん、ありがとう」
「スッキリしたって顔やないけど。もうちょい手酷くやった方が良かった?」
首を横に振る。
「・・・・・また日を改めてゆっくり話す。取り敢えず今晩は帰らせて」
ソファーを立ち、部屋の入口へと歩こうとすると専務に抱き締められた。
「・・・・・や!専務今日はイヤや!」
「なんだよ、セフレやろ。ヤリたいときにヤラせてくれなくてなんの意味があんの?ご褒美やろ、言うこと聞けって」
専務がそう言うとわたしの首筋に舌を這わせる。逃げようともがくけれど余計に腕に力を入れられた。
『お前、可愛くないんだよ、賢いっていうより小賢しい。女は愛嬌って言うだろ、たまにはニコニコ笑ってオレの言うこと聞けって』
2番目のカレシに言われた言葉。
一気に熱が醒めた。
気に入らないと気が済むまで言い返していた。勉強だって負けたくなくて一生懸命やった。
だってそれがわたしだから。
クールビューティとか言われて、寄ってきたオトコはみんなわたしの気の強さと可愛げのなさに勝手に幻滅する。
こまりのように可愛くなんかなれない。
こまりのように素直になんかなれない。
わたしは こまりには なれない。