好きだなんて言ってあげない
ベッドに押し倒されて専務の大きな身体がのしかかってくるのを必死で抵抗する。
ようやくキスを止めてくれた専務が濡れた唇を舐めながら口元を緩めた。
「亜弥」
何故だか嬉しそうに名前を呼ぶ。
「イヤや!なんで!?セフレ辞めるって言った!」
「辞めたらええ。そもそも身体だけの割り切った関係なんて亜弥には無理や」
「だったらもう構わんといて!仕返しも終わったしもう専務とは関わりたくない」
「お前が関わりたくないて言うてもオレが逃がす気ないから諦めろ」
・・・・・・・・・・?
この男は何を言ってるんだろう。
「知性、容姿、財力、三拍子揃ったオレ様が亜弥を選んだんだ、お前はどないしたって逃げられへん」
あまりの衝撃に涙が引っ込んだ。
「だって専務はこまりがーー!」
「愛玩動物がどうした、オレは調教が必要な大型犬の方が好みだ」
調教?
大型犬?
「こまりには優しい・・・・・」
「オレは弱ってる生き物には優しい」
「セフレになれって・・・・・」
「『事故にあったとでも思え』って言われてムカついてな」
「こまりのこと、好きやと・・・・・」
「あんな朔にしか尻尾をふらん小娘なんかハナから興味ない」
「だって手の込んだ仕返しを・・・・・」
「お前のためだろうがっ!」
はいーーーー?
「お前が暴走しそうやったからオレが代わりにしてやったんだ!小娘なんかほっといても黒幕さえ分かれば朔がどんな手使ったって相手を潰すやろ」
状況把握に時間がかかっているわたしの上に専務が落ちてきた。頬にあたる専務の柔らかい髪がくすぐったくて思わず身体を竦める。
「・・・・・・・・・・ありがとう?」
専務が吹き出した。
「なんで疑問形なんや」
専務の手がわたしの頭をゆるゆると撫でる。
「わたし・・・・・可愛くないし・・・・・気が強いし・・・・・気に入らなかったらガンガン言い返すよ・・・・・?」
「気にすんな、少なくともヤッてるときは従順やし」
専務の背中をグーで殴った。