素直の向こうがわ【after story】


「僕が医大に落ちた日のことですね」


父親が穏やかな表情をして、口を開いた。


「おそらく、文子が変わったのは君のおかげなんだろうと思っていた。だから、どういう人なのか、君に会えるのを楽しみにしていたよ」


父親のその言葉に、徹が背筋を伸ばしたのが分かった。


「それで、今日は僕たちのことでお願いに参りました」


徹の緊張がはっきりと伝わる。

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