イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「ね、ねえ凛……このビルに何か用事でもあるの? 勝手に入ったりして怒られない?」
「ふふふ、だいじょうぶだよ。碧羽はココに入るまえ、ビルの名前見なかった?」
「名前?……『アト、リエ……ツバキ…』って……あれ? もしかして、ここって――」
「そう。正解だよ、碧羽。ここは母さんの会社なんだ。だから僕らは顔パス」
勿体ぶって、碧羽に秘密にしていた答えがこれである。凛は母親の自社ビルへと、碧羽を招待したかったのだ。
「こんなところまで、碧羽を連れてきて来て悪かったな」
漸は申し訳なさそうに、碧羽に謝罪する。けれど凛は涼しい顔をしたまま、心苦しさなど微塵と窺えない。もとより申し訳なくはないからである。
「それはいいけど……ママの会社に何かご用なの?」
「うん、ご用なの♪ ほら、エレベーター乗るよ」
凛は嬉しそうに碧羽の科白に肯定し、エレベーターの昇降ボタンを押す。すぐにドアが開くと、碧羽たちはエレベーターに搭乗した。凛は操作盤の三階を押す。
「あのね、これから向かう部屋に、碧羽専用のクローゼットを用意させてあるんだ」
「クローゼット?」
「そう、そこで碧羽の服を見繕(みつくろ)うからね。好きなものを、好きなだけ選んでね」