イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
今日ふたりが母親の自社ビルに訪れた理由はふたつ。
ひとつは言わずと知れた、碧羽の洋服の調達だ。当初は街のブティックを回るつもりでいたのだが、其れには多額の資金が必要になる。
さすがに自分たちの小遣いだけでは賄えないと悟った凛は、親の許で安く仕入れようと企てた次第である。
もうひとつの理由――これが最も重要なのだ――は、『atelier-TSUBAKI』が展開しているティーンズ・ブランドのモデルとなって、碧羽の選んだ洋服の費用分を清算することであった。
此れには母親の協力が必須であり、思い立ったが即行動の凜は、透かさず母親に連絡を取った。碧羽がヘアサロンで施術を受けている時である。
訳をはなすと母親は二つ返事で快諾し、取引材料として凛はモデルを引き受けた。
勿論のこと、漸には黙ったまま水面下での取引であったことは、言わずもがなである。
「ふふふ。僕らも自分磨きには余念がありませんでしたから」
「なんだ、そりゃ?……はは~ん、さては女だな? 好きな女が出来ると、男は変わるからなあ」
「ンなこと……ないッスよ」
なにやら思い出したのか、感慨に耽るように遠くを見つめる茂上である。漸は其れを素気無く躱(かわ)そうとしたが、凛が其れを許さない。