イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「凛も漸も、ちっとも戻って来ないんだから……小一時間とか言ってたのに。でも小一時間って、どんな一時間なんだろ?」
暇を持て余し過ぎて、碧羽は天然少女というポストに『悩める乙女』を追加しようとしていた。
だが其れも仕方あるまい。双子が去ってからすでに、二時間以上経過している。ふたりからの連絡はなく、かといって彼らを探しにビル内を彷徨うのも憚られる。
仕方がなく碧羽は、クローゼットと化した部屋の一角にあるソファに腰を掛けながら、彼らが戻るのを待ち続けているのであった。
洋服選びも随分とまえに済んでしまった。
碧羽を手伝ってくれた女性スタッフには、ついさっき元の職務へと戻ってもらった。自身の都合に彼女をつき合わせるのが、心苦しかったのだ。
碧羽の座るソファの横には、『atelier-TSUBAKI』のロゴが印刷された、大振りなペーパーバッグが五つ。
勿論のこと中身は、碧羽が選んだ洋服が詰め込まれているのだ。バッグの中身をボンヤリ眺めながら、碧羽は盛大なアクビをする。
「あ~~~なんだか眠たくなってきちゃった。ふたりとも、早く帰ってきてよ―――ッ!」
アクビついでに両手を掲げて、大声で双子の戻りを催促する。途端に部屋のドアが開き、鷹揚(おうよう)とした科白とともに彼らが戻ってきた。