イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 華麗なるビフォーアフターを遂げた、彼女の愛くるしさをまえにして、漸は視線を合わすことも叶わずに、ただうつむくしかない。

「漸……こっち向いてよ。せっかく髪型変わったのに、見てくれないの? 美容師さん、がんばってくれたんだよ?」

 自身に対してテレまくる男をまえにして、まったく気づくことのない国宝級の鈍感女子・碧羽。

 男心はBLコミックスで学ぶという、この上ない男泣かせであった。

「……か、かわい……すぎる……ッ」

 そんな国宝級の腐女子をまえにして、耳まで紅に染め上げる日本男児・漸の、むず痒い純情を見せつけられる一コマである。……まったく以って、くだらなかった。

「……ねえ、ふたりとも。僕もいるんだけど、そろそろ気づいてくれないかな」

 そこへ、ここに来てはじめて蚊帳の外へ追いやられた凛が、痺れを切らせてふたりのあいだに割り込んできた。

「あ、凛。いたんだ」

「…………いたよ」

「ねえ漸、凛がいたよ。もう帰ろ? 具合悪いなら、お家で休まなきゃ」

「だ、だいじょうぶだ。どこも悪くねえから。すぐに見慣れるから……少し待ってくれ」

「? わかった。漸がそう言うなら、もう少しココで休ませてもらおう」

 ひたすら勘ちがいをしながら漸を労わる碧羽と、未だに蚊帳の外である凛少年の、哀愁ただよう二コマであった。
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