イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
『漸はお姉さんにモテモテだねえ~♪』などと、汚い手をつかって漸を貶(おとし)める凛である。これには透かさず漸も反撃の一手を加えた。
「女に言い寄られてた、てめえにだけは言われたくねえ! 俺はただ、碧羽のために貰ってきただけだ。次は俺が直接買いに行って、碧羽にプレゼントする」
「……ひどい中傷だよね、それ。脚色しないでほしいんだけど」
「女のひと? 言い寄られていたって、凛が? ここヘアサロンだよね……すごいね、凛はどこででもモテるんだね」
皮肉なのか、それとも純粋に感心しているのか、今ひとつ読めない碧羽の腐女子心。凛はポーカーフェイスを装いながらも、眉間が引きつるのを止めることができない。
「……ねえ、知ってる? サブレってね、フランスのサブレ=シュル=サルトって町の名が由来してるんだって」
だが転んでも、ただでは起きない性根の枯れた凛は、場の空気を見事にスルーするという、荒技をやって退けた。
「苦しすぎるトリビア披露してんじゃねえよッ!」
だが凛は、漸に回り込まれて逃げられない。
「凛って物知りなんだね。女の子にモテるはずだね」
最後は碧羽にトドメを刺されるという、名誉の負傷を追う凛少年であった。